商圏人口が集計できたら、次は当然、需要予測なり売上予測になりますよね。
GIS用のデータということではありませんが、家計調査年報の消費支出という統計データがあります。 様々な品目について、1世帯あたりの消費支出が得られますので、これを使って需要額を計算してみましょう。
家計調査年報は、総務省統計局が毎月公表している統計データで、1世帯当たり1か月間で何にいくら使ったのかがわかります。
いくつか分類がありますが、「都市階級・地方・都道府県庁所在市別」を使います。
今回は例として、川崎市多摩区の向ヶ丘遊園駅付近で美容室の需要額を算出してみます。
商圏は歩いて5分(500m)、自転車で5分(1km)を想定して集計しました。
商圏人口・世帯数は次のとおりです。
半径(km) | 人口総数 | 世帯数 |
0.5 | 13,392 | 8,032 |
1 | 39,987 | 23,374 |
消費支出額はどうでしょう。
統計表の理美容サービス、川崎市の欄を確認すると3,344円となっていますので、消費支出額を世帯数に掛けます。
半径(km) | 人口総数 | 世帯数 | 需要予測額 |
0.5 | 13,392 | 8,032 | 26,859,008 |
1 | 39,987 | 23,374 | 78,162,656 |
出店候補地から 0.5km圏で2,685万円/月、1km圏で7,816万円/の需要があることがわかりました。
簡単でしたね。
他の業種でしたら、いくつか消費支出を組み合わせて使う必要もあると思います。
続けて、売上げ予測を試みます。
美容室ですから、多少遠かろうと気に入っているお店に足を運ぶ人も多そうですよね。
私はもちろん同市区内です。
川崎市のホームページで調べたところ、川崎市多摩区住民の理容・美容における地元購買率は 61.7% でした。
39.3% は他の場所で消費しているわけですから、需要予想額に地元購買率を掛けてみます。
半径(Km) | 人口総数 | 世帯数 | 地元購買率(%) | 売上予測額 |
0.5 | 13,392 | 8,032 | 61.7 | 16,572,008 |
1 | 39,987 | 23,374 | 61.7 | 48,226,359 |
売上目標額とも言えそうですが、予測売上は 1,657万円/月から 4,822万円となりました。
それと、そうです!
競合店も加味しないといけませんよね。
資金に余裕のある方は、是非、競合店などのデータを入手してGISに展開してください。
私はタダで済ませたいと思います。
おおよその数を Googleマップで調べて少し多めに設定しました。
0.5km圏内で20店、1km圏内で40店とします。 これで割っておきましょう。
半径(km) | 人口総数 | 世帯数 | 地元購買率(%) | 競合店 | 売上予測額 |
0.5 | 13,392 | 8,032 | 61.7 | 20 | 828,600 |
1 | 39,987 | 23,374 | 61.7 | 40 | 1,205,659 |
その結果、私の予測売上は 82万円/月から 120万円也。
GISを足掛かりに需要算出から売上予測まで、かなり楽観的に計算してきましたが、いかがでしたでしょうか。
【出典・著作権】
- 平成22年国勢調査人口総数(総務省「政府統計の総合窓口 e-Stat」)
- 平成26年家計調査年報(総務省「政府統計の総合窓口 e-Stat」)
- 多摩区住民の購買行動(川崎市役所)
- QGIS 2.12.1-Lyon

1971年、栃木生まれの東京育ち。
GISにすっかり魅了され気がつけば20年、マーケティングGIS「Tactician」の営業にはじまり、「MapInfo」や「ArcGIS」などのシステム開発を手掛けてきました。 GISを活用したエリアマーケティングを技術的な側面からサポートしています。